私にはかわいい娘がいます。今、4歳です。
その娘に、私は手をあげたことがあります。
大声で怒鳴りつけたことがあります。
つねったことがあります。
突き飛ばしたことがあります。
私は、娘を虐待してしまいました。
しかも一度ではなく、くりかえしました。
娘が2歳~3歳のころのことです。
「なんてことを・・・・」
そのときは自分が恐ろしくて娘に申し訳なくて、もう二度とすまいと思うのです。
それなのに、娘を大切に思う気持ちは本心のはずなのに、どんどんイライラに耐えられなくなり、暴力の間隔は短く、そして力は強くなっていきました。
私の虐待行為は、3ヶ月に1度、1ヶ月に1度、1週間に1度と、増えていきました。
このままでは、そのうち娘を殺してしまう。その前に死のう、でも娘を一人で残したらかわいそうだから、一緒に・・・
支離滅裂ですが、真剣にそう考えていました。
そこからどうにか救われ、今娘も私も生きているのは、助けを求めたからです。
このままではいけない・・・ワラにもすがる思いで、私は自治体の育児相談窓口に連絡してました。
そして、多くの方のサポートを受けて助けてもらいました。
もくじ
だれかに、助けを求めてください
あなたがこの文章を読んでいると言うことは、虐待してしまう・してしまいそうな自分が恐ろしくて、わが子が愛しくて、悩んでいるからだと思います。
どうにかしたい、子どもを守りたい・・・
そんなママに、同じように悩み苦しんだ私の経験をお伝えします。
あなたは十分に頑張っています。
一人で耐えても、状況は悪化するだけです。
勇気が要りますが、誰もあなたを責めませんし、あなたもあなたの子どもも守ってくれます。
どうか、相談してください。
私は市役所に電話しました。
当時、娘は幼稚園に入園したばかり。
私は、2歳ごろからたびたび娘に虐待行為を繰り返していました。
- ご飯を食べない
- 登園のときに歩いてくれない
- 手を洗うのに15分かかる
- 夜、寝ない
理由はいろいろ・・・他人から見れば些細なことでしょう。
当時、頭はモヤがかかったようでした。
娘のことを思って頑張っているのに、娘には届かない。悩まされる。
もうイヤだ・・・
「死にたい」
「娘のためには死ねない」
「娘がいなくなればこの苦しみから解放されるのでは」
「いっそ二人で死のう」
そんなひどい考えばかりが頭にありました。
しかしある日ふっと、このままではいけない!と強く思いました。
そしてその勢いで、私は自治体の育児相談窓口に電話をしました。
最初は虐待ホットラインみたいなところにかけたのですが、つながらず・・・
他によさそうな相談先も思いつかなくて、以前、発達について相談した窓口を思い出して、そこへ電話したのです。
とにかく今誰かに助けを求めなければ・・・という気持ちでいっぱいで、そこで適切な相談先を紹介してもらおうと考えました。
「すみません、私、娘に虐待してしまっています・・・・たすけてください」
自分の状況を簡潔に話して相談先を聞こう、と思っていたのですが、電話がつながったとたんに頭がまっしろになって、それだけをやっと話しました。
自分の罪を告白すると言うのは、とても恐ろしいものです。
私は泣いていました。
しかし窓口の女性は動じずやさしく「連絡してくれてありがとうございます。」と言ってくれました。
まずは娘の年齢や住所、現在の状態などを簡単にヒアリング。
そして急遽、自宅にケースワーカーさん?心理士さん?が来て面談してくれることになりました。
急なこと、しかもその当時は自宅が散らかりまくっていたことなどで悩んだのですが、少しでも早く現状を脱したい思いが強く、面談をお願いしました。
スタッフさんはあなたの味方です。
色々な家庭に出向いているので、汚かろうがなんだろうが大丈夫です。
自宅に来られるのは・・・と言う場合は、自分が相談窓口に出向いたり、電話相談にしたりもOK。
自分に負担の少ない方法をお願いしましょう。
何度かの面談を繰り返して
最初の面談は、娘が幼稚園に行っている間。
数時間、ほとんど私は泣き続け、気持ちを吐き出しました。
娘のこと、育児の悩み、私の幼少期、学生時代、実母への思い・・・
心理士さん(?)はずっと、それを丁寧に聞いていてくれました。
それはツライね、わかるよ・・・頑張ってきたんだね。
そう寄り添ってもらえたことで、自分の中のドロドロしたものが少し軽くなったように感じました。
話すことで、自分の気持ちを見つめなおせたのも大きかったかと思います。
食事を食べないことなど、悩みについてのアドバイスもいくつかもらいました。
初日はほぼそれだけで終了しましたが、その後も1週間の間に3回ほど電話&対面の面談を受けました。
娘の帰宅後に、親子での面談も。
また、2週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、というふうに間隔をあけて「最近はどうですか?」という電話をもらっていました。
「いつでも連絡ください」とは言われていたのですが、私からは遠慮してしまってなかなか連絡できなくて・・・・
でもタイミングを見計らって連絡くれて、「最近ご飯を食べなくて」とか悩みを聞いてもらえ、ありがたかったです。
娘は4歳。年中さんになった現在も、進級時などに連絡をもらったり、春休みや夏休みには自治体の親子教室に誘ってもらったりと、関わりを持ち続けています。
娘の場合、療育センターでの様子見などもあり、自治体との関わりがあるというのは心強いです。
スタッフさんは、一緒に最善の道を考えてくれます。
私の場合は面談でしたが、「希望すれば子どもを預かることもできる」とのことでした。
一人で悩むより、絶対にいい方向へ進みます。
どんなことも遠慮なく相談しましょう。
相談から1年経って
相談してから、1年以上が経ちました。
正直、未だに娘にイライラしてしまうことはあります。
怒鳴ってしまうことや、イヤミっぽい言い回しをしてしまうことも。
気持ちをコントロールしきれずに別室へ逃げ込むこともあります。
まだまだです。
けれど、あの頃のように暴力的な衝動に駆られたり、娘や自分を憎んだりすることはなくなりました。
イライラしたときの対処法も、自分なりにコツをつかんできたと思います。
とはいえ、私がしたことは消えません。
娘の心には大きな傷があります。
私がイライラすると、娘はおびえて「ペチンしないで」と言うことがあります。
その言葉、その表情の痛ましいこと・・・・
私は許されないことをしました。
あの日、あの電話をかけられてよかったと心の底から思います。
そして、もっと早く誰かを頼るべきだった、そうすれば娘を守れたのに、と後悔しています。
そんな過去の自分を救うために、この記事を書きました。
かつての私と同じように苦しむママへ、届きますように。
どこへ連絡したらいいの?
189(児童相談所全国共通ダイヤル)
警察への通報の110番みたいな感じで、189と押すだけ。24時間OKです。
固定電話の場合、市外局番から自動的に振り分けて、近くの児童相談所へ電話がつながります。
携帯電話の場合は、オペレーターさんに住所を言うと、同じように近くの児童相談所へつなげてくれます。
自治体へ
ベストな相談先は、上記189です。
しかし児童相談所というと尻込みしてしまうママもいるでしょう。
私も、児童相談所は少し怖くて・・・避けてしまいました。
当時、検索して出てきたホットライン(189ではない)にかけましたが、ずっと通話中でつながりませんでした。
それで次に電話をかけたのが、自治体の子育て相談窓口・・・というわけです。
だいたいどこの自治体にも、そうした部署があるはず。
電話番号がわからなかったら、市役所・区役所に電話をかけて「子育てのことで悩んでいる」と言えば担当課につなげてくれます。
ただ、平日の17時くらいまでしか対応できないので、やはりできれば189へ。
相談先を電話帳に登録しておきましょう
今すぐに電話する気持ちになれないというママは、189か自治体の相談窓口の電話番号を、スマホに登録してください。
189は24時間対応なので、カッとなったときにすぐ電話できます。
最悪、110でもかまいません。
あなたの大事な子やあなたが傷つくことは、誰も望んでいません。
「たすけて」と声を出せば、絶対に誰かが応えてくれます。
あなたの子も、あなたも、守ってくれる人がいます。
誰かに言うの、こわいです。不安です。
でもあなたの子どもはもっとこわくて、不安な思いをしています。
そして子どもには、誰かに助けを求める力はありません。
このままでは、もっとこわいこと、もっとツライことになります。
どうか、相談してください。大丈夫です。
民間団体のサービス・支援もあります
上記、189や自治体の窓口は確実なサポートをしてくれます。
しかしまだ「虐待はしていない」「ちょっと悩んでいるだけ」というママもいるかもしれません。
そういう方は「まだ頑張れる」と自分を追い込んでしまいがち。
大丈夫と思っているうちに相談できる先を見つけておいてほしい、爆発する前に気持ちを吐き出してほしい、と感じます。
そんなママさんを支援してくれるような相談窓口をいくつかピックアップしました。
リスニングママ・プロジェクト(NPO法人)
リスニングママ・プロジェクトは、妊婦さんや、乳児〜未就学児・小学生を子育て中の母親を対象とした子育て支援プロジェクトです。
無料通話ツール「zoom」を使い、20分間無料でママの悩みや話を聞く「おはなしDAY」というものを行っています。
予約制ですが、相談や雑談など気軽に話が出来る場で、ママの気持ちを軽くしてくれるでしょう。
ママさん110番(日本保育協会)
保育士の支援をする日本保育協会では、子育て全般の悩み相談を受け付けています。
- 電話番号:03-3222-2120
- 受付日:月~金(祝祭日、年末年始はのぞく)
- 受付時間:10:00~12:00、13:00~16:00
エンゼル110番(森永乳業)
森永乳業の委託を受けた「森乳コミュニケーション」が運営している育児相談電話です。
妊娠中~就学前の育児が対象にたっています。
- 電話:0800-5555-110(フリーダイヤル)
- フリーダイヤルが使えない場合は:046-259-8951(通話料がかかります)
- 受付日:月~土(日曜祝日、年末年始はのぞく)
- 受付時間:10:00~14:00
上記公式サイトでは、よくある質問などをまとめています。
まわりの方へ
子どもへの虐待は、どんな理由があれ許されません。
その罪を犯した私が言うのははばかられますが、ママもまた苦しんでいます。
もし「虐待かな?」「あの家庭、心配だな」と思うようなことがあったら、お願いです。
子どもとママを助けるために、189に連絡してください。
私は一時期「誰か助けてくれないかな」「いっそ通報されて逮捕されれば…」というような思いがありました。
自分で相談する気力もなく、けれどこのままではダメだという焦りと不安に支配されていたころです。
虐待と思われる行為を繰り返す親御さんには、そんな心理をもった方もいるかもしれません。
周りの方の通報、相談が子どもとママを救うかもしれません。
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